第4章:66前期という過渡期の完成形

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どーも、捌零式です。ハロにちわ〜。
第4章では、501の中でも特に語られることの多い66前期について、できるだけ構造的に整理しながら書いていきます。

66前期は、BIG Eの荒さと66後期の均質さ、そのちょうど中間に位置する存在です。 どちらの要素も残っていて、どちらにも振り切っていない。 だからこそ評価が分かれ、同時に強く支持され続けているモデルだと思っています。


1. 66前期とは何か

まず前提として、66前期という呼び方はLevisの公式名称ではありません。 これは後年、コレクターや研究者、古着業界の中で便宜的に使われるようになった分類です。

大まかには、以下のような条件を満たすものが66前期と呼ばれることが多いです。

  • トップボタン裏刻印が1桁か2桁(例:6、8、16など)
  • 赤耳
  • バックポケット裏がシングルステッチ
  • 紙パッチ(初期)
  • 内タグがない、または極めて簡素

ただし、これらは絶対条件ではなく、個体差や移行期特有の混在が存在します。 ここが66前期を難しくもあり、面白くもしているポイントです。


2. 生地の変化:BIG Eとの決定的な違い

66前期を語る上で避けて通れないのが、生地の変化です。 BIG Eと比べると、66前期のデニム生地は明らかに安定しています。

糸の太さ、撚り、織りのテンション、染色ロット。 これらがBIG E期よりも統制され始めています。

ただし、完全な均質化にはまだ至っていません。 ここが重要です。

生地にはまだ揺れが残っていて、縦落ちも個体ごとに表情が異なります。 ただし、その揺れはBIG Eほど荒々しくない。 この絶妙なバランスが、66前期特有の色落ちを生みます。


3. 色落ちの特徴

66前期の色落ちは、一言で言えば整理された荒さです。

  • 縦落ちは出るが、線が細くなり始める
  • ムラはあるが、BIG Eほど暴れない
  • 全体的に品が出る

BIG Eは、個体によっては縦落ちが強烈すぎて、好みが分かれます。 一方で66前期は、穿き込むことで自然にまとまっていく。

このため、初めてヴィンテージデニムを履く人にとっても、比較的受け入れやすいモデルだと思います。


4. 縫製とディテールの変化

縫製面でも66前期は過渡期です。

ミシンの精度は向上し始めていますが、完全な自動化ではありません。 縫製者のクセがまだ残り、ステッチ幅やテンションに微妙な差が見られます。

特に分かりやすいのが以下のポイントです。

  • バックポケットの歪み
  • アーキュエイトステッチの揺れ
  • 裾のチェーンステッチの不均一さ

これらは欠陥ではなく、時代の記録です。 66後期になると、こうした揺れはかなり抑えられていきます。


5. 赤耳の意味

66前期の多くには赤耳が残っています。 これはシャトル織機がまだ主流だったことを示しています。

赤耳があるから価値がある、という単純な話ではありません。 重要なのは、赤耳が示す生産体制です。

低速で織られたセルビッジデニムは、生地に独特のテンションムラを残します。 これが穿き込んだ際の色落ちやアタリに影響します。

66前期は、このセルビッジ文化がまだ息づいていた最後の時代の一つです。


6. なぜ66前期は評価が高いのか

理由は単純です。

荒さと完成度のバランスが取れているから。

BIG Eの荒々しさが好きな人には、やや大人しく感じるかもしれません。 一方で、66後期の均質さを物足りなく感じる人には、ちょうど良い刺激がある。

つまり、両方の世界を知る人ほど66前期を評価する傾向があります。


7. 市場評価と現実

市場では66前期は安定して高評価です。 ただし、過剰な神格化には注意が必要です。

66前期だから必ず良い個体、というわけではありません。 個体差は依然として存在します。

大切なのは年代よりも実物を見る目。 これはBIG Eでも66後期でも変わりません。


8. 捌零式的まとめ

66前期は完成形ではありません。 過渡期です。

しかし、その未完成さこそが魅力になっています。

技術が整い始め、文化が変わり始め、量産の波が押し寄せる直前。 その一瞬を切り取ったのが66前期です。

派手さはない。 だが、静かに深い。

だからこそ、長く付き合える一本になる。 それが66前期だと、捌零式は思っています。

次章では、この66前期がどのように66後期へ移行していったのか。 より均質化が進んだ世界を見ていきます。

それではまた次章で。

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